TRIUMPH Tiger Page

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CONNECTOR

 私の周りで、TigerとS-Tripleで2件起きた、燃料系のコネクター割れによるガソリン漏れ対策として、緊急用応急キットを用意した。
燃料ホースのガソリンタンクに接続する樹脂製ワンタッチジョイントにクラックが入ってガソリンが噴出して走行不能となるトラブルらしい。
2件発生と言うことで、キットを作って常備することにした。
応急処置としては、割れたコネクターをホースからはずし、代替コネクターに変えるだけなのだが、
コネクターを固定しているホースバンドがカシメ式なので簡単には外れないことが予想されるので、カッターナイフも入れて,
破損コネクターをホースごと切断して代替コネクターと交換できるようにした。
ホース長さには多少余裕があるの少しなら切っても大丈夫。代替ホースバンドも2種類用意して作業しやすい方を使うことにする。
因みにこのコネクターはメーカー修理では、カシメてあるので、ホースごとアッセンブリ-交換となるもの。無事に帰宅できたら正規品に交換することとする。


kit

その後の情報:

 2003年に入って、ドイツのショップのWebサイトで、金属のコネクターセットが販売されているのを見つけ、この樹脂製のコネクタの破損が多いことが予想された。

set
89ユーロ。ばら売りもあり。

 2004年に入ってから聞いた話であるが、このトラブルが多いため、メーカー側で、ホースのアッセブリー交換ではなく、
コネクターとホースバンドのみの交換ができるように、メンテナンス・パーツの構成を変更した。
保障期間外だと数万円かかっていた修理代が数千円になったという噂。

 Sprintの例であるが、樹脂のコネクタを金属に変更した例がWeb上で紹介されていた。

cone01 cone2
変更前 変更後

 また、2004年4月、ネット上でリコールの噂が流れる。ただ、メーカー側は否定。単なるデマかリコール草案が関係者からリークしてきたものか、
詳細は不明である。ネット上での記事内容は下記。

2004 Fuel System Connector Recall  Posted on 2004-04-29
"It seems that Triumph have finally decided that the fuel connector problem on FI bikes (the connectors cracking or breaking) is bad enough for a recall. Click on the "Read More" for details from the NHTSA. If your bike is affected (all fuel injected bikes will be) and you have not made the swap to metal fittings yourself, contact your Triumph dealer for more info.
Recall Details
Make / Models : Model/Build Years:
TRIUMPH / DAYTONA 600 2004
TRIUMPH / DAYTONA 955 1997-2004
TRIUMPH / DAYTONA T595 1997-2004
TRIUMPH / SPEED FOUR 2002-2004
TRIUMPH / SPEED TRIPLE 1997-2004
TRIUMPH / SPRINT RS 2000-2004
TRIUMPH / SPRINT ST 1999-2004
TRIUMPH / TIGER 1999-2004
TRIUMPH / TT600 2000-2003
NHTSA CAMPAIGN ID Number : 04V156000 Recall Date : MAR 24, 2004
Component: FUEL SYSTEM, GASOLINE:DELIVERY:HOSES, LINES/PIPING, AND FITTINGS
Potential Number Of Units Affected : 18998
Summary:
ON CERTAIN MOTORCYCLES, THE MALE FUEL CONNECTOR LINKING EACH OF THE FEED AND RETURN FUEL HOSES TO THE FUEL PUMP MOUNTING PLATE MAY BE FOUND TO CONTAIN A FRACTURE FOLLOWING IN-SERVICE HANDLING.
Consequence:
FUEL COULD ESCAPE FROM THE FRACTURED BODY OF THE CONNECTOR ONTO THE ENGINE OR SIDE OF THE BIKE. FUEL LEAKAGE, IN THE PRESENCE OF AN IGNITION SOURCE, CAN RESULT IN A FIRE.
Remedy:
DEALERS WILL REPLACE THE CONNECTOR. OWNER NOTIFICATION IS EXPECTED TO BEGIN DURING APRIL 2004. OWNERS SHOULD CONTACT TRIUMPH AT 1-678-854-2010.
Notes:
CUSTOMERS CAN ALSO CONTACT THE NATIONAL HIGHWAY TRAFFIC SAFETY ADMINISTRATION’S AUTO SAFETY HOTLINE AT 1-888-DASH-2-DOT (1-888-327-4236).
"

 2004年7月1日、遂に黒虎2号のコネクタも走行中にクラックが入り、ガソリン漏れを発生。幸い大事に至らず、
上記TOOLが役立つことになった。クラックが入ったのは、下側の白コネクタ。ホースバンドは、少し細めのマイナスドライバーで
爪部を浮かせると簡単に外れた。コネクタを抜くと勢い良くガソリンが噴出したので、急いで予備コネクタをはめた。予備コネクタは、
正規のコネクタよりもホースに挿入するタケノコ形状部の外径が少し細かったが、ホースバンドをはめたら何とか固定されていた。ホースバンドは、
はずしたものをまた再使用できた。車載工具の小さなプライヤーで簡単にはめられた。よって、TOOLセットには
、細めのマイナスドライバーも入れておいた方がいいでしょう。実際この応急処置状態で、shopまで約16kmは無事に走れた。
そしてshopで在庫の正規コネクタに戻してもらった。今回は、種々の情報を元にTOOLセットを準備しておいて本当に良かった。
情報の重要性を思い知らされた一件であった。

broke
クラックの入ったコネクタ


そして、2004年8月13日、正式に国土交通省からリコールが発表された(下記)。
長い長い道のりであった。対策としては、やはり金属コネクターに変更するようである。
黒虎2号は、9月4日現在、まだ修理はしていない。これで、このTOOLセットも不要となるのであろう。

車名 トライアンフ
通称名 スピードトリプル,デイトナT595,デイトナ955i,スプリントST,スプリントRS,タイガー,TT600,スピードフォー,デイトナ600 9車種
型式 SMTTE500,SMTTE508,SMTTE551,SMTTE502,SMTTE520,SMTTE521,SMT502FP,SMTTF600,SMTTF650,SMTTF605,SMTTF651,SMTTF667,SMTTG700,SMTTG720,SMTTH800,SMTTH801,SMTTH830 17型式
製作期間 平成8年11月27日〜平成15年7月2日
対象台数 839台
不具合の部位 燃料装置(燃料タンクコネクター)
不具合の状況 燃料タンクへ接続する燃料ホースのコネクターの形状が不適切なため、当該コネクターの取り付けを誤ると、走行中に破損することがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると、燃料が流出し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
改善の内容 全車両、コネクターを対策品と交換する。
なお、対策品の供給に時間を要するため、暫定措置として、不具合内容を案内し、部品の確保が出来次第、対策を行う。
クレーム件数 国内: 36件
事故件数 国内: 無し
発見の動機 海外市場からのクレーム情報による。
 
2004年9月25日、やっとショップに行くことが出来て、リコール修理をしてもらった。今度の対策品は、赤・白共に一見アルミニウム製に見え、
本体とタケノコ部を溶接して作った、ほとんど手作り品のような高価そうなもので、赤コネクター側は、外観にちゃんと赤のアルマイト処理がしてある。
ただ、今までの樹脂コネクターのように、逆止弁が付いていないので、コネクターをはずした時、ホース内に残っているガソリンが噴出してくる。
逆止弁を省いて少しでもコストを下げようとしたのか?別の理由があるのかは不明。また、交換されたのはホース側のオスコネクタのみで、
タンク側の雌コネクタは,交換されていない。写真では、分かり難いが赤コネクタは、ホースの取りまわしに無理があるので、
矢印側に応力がかかっている状態なので、今まではオスコネクターの弱い部分が折れていたが、今度オスコネクターが強くなると、
タンク側のメスコネクターが破損することが容易に想像できる。一件落着のように思えたリコール騒ぎであるが、
これは、メス側の予備コネクターを準備しておいた方が安心できるような気がする。

recall101   recall102

recall03


そして、2006年秋、ついに恐怖は現実のものとなった。

最初の事件は、関西で起きた。こじろぅさんの04Tigerが、ガレージで保管中にガソリン漏れ。もし、火の気があったら火災に! 
原因は、なんとガソリンコネクターのメス側の破損。そうである、2004年9月の対策の時に、変更しなかった樹脂側が危惧していたとおりに破損したのだ。もちろん
、ディーラーは「初めてのケース」だと、リコールにはならないとの回答(なんか、怪しい。オスの時と同じだ)。

早速、黒虎は調査に入った。すると海外でも、1件同じ割れを起こしている画像を発見。詳細の状況は分からないが、これは要注意である。

海外サイトでの金属コネクタ変更例
出典: Gallery: Triumph Rat.Net Photo Album navigate UP Album: Member-Maintained Albums navigate UP Album: Members G - I navigate UP Album: Hayduke 
kaigai01 kaigai02 kaigai03
折れた上コネクタ 角柱を打ち込んで回している 無事に金属コネクターに変更  ※1
※1:写真の右端から出ている細いゴムチューブは、02モデルの終わりになくなり、エアーボックスは移動した。


前回のようにリコールになるまで数年もかかっていては、手遅れになる!先手を打つべく、前述のドイツのショップで売っていた金属コネクタを探すこととなった。
 しかし、オスコネクターのリコール後、何社か売っていた金属コネクターは姿を消していた。

しかし、RATフォーラムで過去のコネクタートラブルの対策ページから、
アメリカの「TEAM TRIUMPH STORE 」(http://www.rideteamtriumph.com/)
でまだ売られていることがわかった。

kit2 METAL FUEL FITTING KIT

We know how easy these are to break!
Replace those cheap plastic quick connects with these quality chrome plated brass fittings.  
A Team Triumph exclusive product.
Part No.   TTFKD-1    Price  $75.00

詳しく調べていくと、この金属コネクターは、正規の樹脂製のものと同じCPC社製のものと分かった。コネクターのボディ材質は、真鍮にクロムメッキ。Oリングはバイトン。
ネジは、イギリス規格のテーパネジ(BSPT)であることも判明。これならば、CPCの日本代理店に直接手配したら入手できるかも知れないと判断した。
早速、Tiger仲間に呼びかけ、注文をまとめて代理店に掛け合った。
すぐに見積もりが出たので喜んで発注。
しかし、今受注生産品となってしまったので数が少ないので、受けられないといってきた。
そこを何とかと頼み込んでやっとOKをもらい、11月中旬に納品の運びとなった。やったー!

策は間に合わず!

しかし、なんと11月5日トライアンフ相模原のイベントで宮が瀬ダムへ行ったとき、Tiger仲間に「何か垂れていますよ」と指摘を受け、
見ると
ガソリン漏れであった。すぐに、ピンっときた。起きてしまったか、金属コネクターが間に合わなかった。たったあと、2週間というのに。 
こいつは、噴出すと大騒ぎになるので、その足でトライアンフ相模原へ直行。手当てに入る。

黒虎2号の修理(2006年11月5日)
broke201 broke02 broke03
上のコネクターから、ガソリンが漏れている はずそうとして折れたコネクタ 樹脂製コネクタをつけて仮完了

真ん中の写真の状態になると、折れたネジは簡単には外れない。ネジロック材が固着してねじ溝に詰まっている。
上記、海外の画像のように角材か何かを打ち込んで回すと取れるかも。今回のshopの修理は、ピンでその残骸を掻き出す作業で3h時間くらいかかった大仕事となってしまった。

しかし、これから金属コネクターが入手できたとしても、現樹脂コネクターをはずす時に折れたら、この大変な作業をしなくてはならない。簡単な交換方法を考えるとする。

質問状

2006年11月5日、Eメールでトライアンフジャパンに状況を説明し、クレームをつけるも、11月17日に前回のリコール修理は妥当との回答。だが、
危険な可能性も有るので今後情報収集をしてリコールの可能性がないか検討していくとも付け加えられていた。
11月24日納得がいかない点について、再度郵便にてお願いをした。

部品到着

11月22日に先月代理店に発注したCPC社製金属コネクターが到着した。
メスコネクターは、BSPTネジでバイトンOリングだと特注扱いになってしまうと後で分かり、10個購入するということで、何とか入荷できた。

cpc01
CPC LCD23004V,LCD23006V,LCD10004BSPTV


交換作業

 ついに、2006年11月25日、金属コネクター交換作業が開始された。
25日は、約1時間をかけてガソリン抜きとバッテリーはずし作業を行った。翌26日は、朝から作業開始をして、片付けまで含めて約4時間かかった。
上コネクターが簡単に外れたラッキーと下コネクター外しを試行錯誤した時間などを考慮して判断すると、
もし次に同じ作業をすると(上下両コネクター破損でも)3時間弱でできる気がする。

act01 act02 act03
まずは、ガソリン抜き作業です。ガソリンタンクの上から灯油ポンプであらかた抜いてから、赤コネクターをはずして、ガソリンが出なくなるまで抜きましょう。このときは、サイドスタンドをかけて、車体を左に傾けていた方がよいでしょう。また、安全も考慮してバッテリーははずしておき、修理後ガソリンがいきわたるまでセルモータを長く回すことを考え、充電をしておくとよい。、 赤、白両コネクターを交換する前に突起が出ている方向が分かるように、ホースにマーキングをする。そのあと、ホースクリップをプライヤーで締める方向に力をかけながらマイナスのミニドライバーでひっかかりを持ち上げてはずす。 リコール前と同じ弁付きのオスコネクターの金属製のものと交換する。白コネクターの方が赤コネクターより、ホース径が細いので、下のコネクターに入るホースにはタケノコ部が細い方をはめる。
act04 act05 act06
回しやすいようにメスコネクターのロックレバーをはずしておく(下表参照)。 19mmのメガネレンヂをナット部にかけて、ゆっくり回す。運がいいと外れてくる。 予めネジ部にネジロックの溶剤やCRC556のような潤滑剤を流し込んでおくと少しはきくが、奥まで浸透するのには時間がかかりそう。先日修理した上側はまだ樹脂が劣化していないし、ネジロックが完全に硬化していなかったので何とか外れたが。下側は、簡単にもげた。全くをもって、信頼性のないコネクターである。
act07 act08 act09
頭がもげると、内側の弁体は残ってしまう。ニッパで切断して、バネを取り出す。そのあと、中に残った弁体の頭は、ピンセットでOリングを引っ張ってカッターで切り、コネクター破談部の入り口をちょっと削ると取り出せる。
あとは、ミニドライバーとハンマーででコネクターの残骸を崩していくしかない。ガソリンタンク側は細い穴になっていて段差があるので簡単にはごみは入っていかないが、安全のためウエスを小さく丸めて奥の穴にゴミよけとして詰め込んでおくと良い。
コネクターの残骸が取れたら、ネジ部の掃除をする。ネジロックやコネクターの破片が詰まっていないかよく確認する。これは、埼玉の黒虎さんが作ってくれた溝掃除ピン。 PT1/4のタップで掃除しておくと安心できる。ねじ山がずれて切り込まない様に注意。
act10 act11 act12
タップだけでは、入り口のゴミは取りきれないのでまた念入りに掃除をする。これも、埼玉の黒虎さんが作ってくれたカギヅメ。 掃除が終わったら、金属製メスコネクターにテフロンシールテープを巻く。ネジを締めこんだ時に、ほどけない方向に巻くこと。今回は2周半巻いた。巻いた後、緩まないように指でテープをネジに押し付けておく。 慎重に、メスコネクターをねじ込んで行く。テーパーネジなので、最後までは締まらない。硬くなったら、ストッパーのレバーの位置が上下のコネクターお互いに位置と重ならない位置で停める。シールテープは、一度でも逆回しをしたら使えなくなるので要注意。締めこみすぎたりして逆に回したら、一度コネクター抜いてシールテープを剥がして新しいシールテープを巻きなおすこと。
act13 act14 act15
コネクターのストッパーレバーを組んで、各オスコネクターを挿入する。この時、ストッパレバーを少し押し込んでレバーがオスコネクターのOリングに傷を付けない様に注意する。 ガソリンを入れて、漏れがないかチェックをしてから、バッテリーを積んで試運転をする。ガソリンが行き渡るまでスターターは少し長く回すことになる。 今回用意した特殊工具類
エキストラクター(折れネジはずし)は、役に立たず。コネクターの残骸とネジロックの固着は強固でびくともせず。
ケミカル類も浸透させるのに時間をとれば役に立つ可能性あり。


CPCコネクターのストッパーレバーの取り外し方
cone01 cone02 cone03
CPCコネクターのロックレバー部の部品構成。小さい部品が多いのでなくさないように注する。 ストッパレバーを押してピンを飛び出させる。 ピンを爪で押し込みながらストッパレバーを逆方向にゆっくり引き抜く。
cone04 cone05  もし、ピンやバネなくしちゃたら
予備ありますので
お知らせください。
レバーが抜けると、ピンがバネ圧で飛び出してくる。ピンとバネをふっ飛ばさないように注意する。 レバーの裏側にもバネが入っているが、樹脂製のコネクターではバネは落下防止リブにはまり込んでいて落ちないが、金属製の場合リブがないので落ちるので要注意。   







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